ジルベスターコンサート本番を明々後日に控えた12月28日。
小林先生との最後の合唱練習が行われた。
今回はカメラ取材が入るとのことで、番組ディレクターやカメラクルーのほかに
東急文化村の担当の方も顔を見せている。
合唱団はすでに18日に日本フィルとの本番を終えていたので、
今年のマエストロがどんな指揮をするかはみんなわかっている。
練習はやはり時間調整が中心。
いろいろと憶測を呼んでいた演奏カットは合唱にはなしということになっていた。
合唱団としては一安心である。
「最後に全部通すから、誰か時間をはかってください。」
との先生の言葉に、先生自身も含め何人かがストップウォッチを手にする。
全曲通した後、時間を確認すると、
みんなタイムが違う・・・当たり前である。
レースのように号砲とともにスタートするわけではないので、
小林先生の振りはじめからカウントするか、
バリトン独唱の出はじめからカウントするかで
0コンマ数秒の差が出てしまう。
0コンマ数秒とはいえ、その差はカウントダウン演奏では致命的なずれとなって聞こえるだろう。
東急文化村の担当者も不安そうな顔を覗かせていた。
ただ、マエストロだけは何か核心をつかんだように
「よし、本番もこの調子で行こう。」
と力強くおっしゃった。
練習のあと
東急文化村の担当の方、番組ディレクターの方々も交えて、先生を囲んで飲み会。
コンサート成功に向けて大いに盛り上る。
会が終わるころ、小林先生が文化村の担当者に小さくつぶやいた。
「僕は明日一日、自宅でこの曲とだけ向き合って過ごして、そして本番を迎えようと思います。」
カウントダウン成功に向けて、なみなみならぬ決意と集中力を表明するマエストロの一言だった。
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